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創作文芸ブログ

はじまりのとき  

 視界が空でいっぱいだった。浮遊感、重力を感じない。
 ふと、星が瞬く夜空から青白い手が伸びてくる。
「アリス、僕のアリス。甘い夢を見よう」
 ビョオビョオうるさい風に紛れて、男の声が耳に届いた。
 とっさに瞼を閉じる。
 強く強く、歯を食いしばって。そうでもしないと全てを持っていかれそうな気がした。
 けれども、何も起こる気配はない。小鳥のさえずりだけが聞こえる。恐る恐るつむっていた目を開け、現状を確認する。
 地に足をつけ、青々とした樹々に囲まれた森に佇んでいた。
「どこここッ」
 仲間とのコミュニケーションを楽しんでいるのか、小鳥は絶えずさえずっている。チュピチュピ、ピーピー。
 強張っていた腕の力が抜ける。体を抱きしめていた腕は役目を終え、重力のまま下に落ちた。

彼女たちに出会ったあの時のキラキラは忘れらない。
まだまだ一緒に遊ぼう、歌おう、踊ろう。大好きなきみたちが、また彩りを戻せるよう、ぼく頑張るから。


アリスの国はアリスの為にある国で、誰かの胸に在るのだと思います。
きっと私の胸の中にも在る。だから、時々思い出します。元気にしてるかなぁ、て。
昨夜、唐突に思いついた「アリスの国のはじまり」リメイクのつもりはありませんが、一緒に思い出してくれたら嬉しいです。

楽しかったあの頃を、これからも。

category: アリス

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